CopilotなどのAI回答に自社ページが使われているかを知りたいとき、Bing Webmaster Toolsの「AI Performance」は一つの手がかりです。Microsoftは2026年2月、Microsoft Copilot、BingのAI生成要約、一部パートナー連携における引用状況を示す公開プレビューとして発表しました。6月にはIntents、Topics、Citation Share、Compareの4機能のグローバルでのプレビュー展開が始まりました。2月の発表/6月の発表
このレポートはGoogle Search Consoleの生成AI表示回数とは対象サービスも数え方も異なります。ここではBing側の指標だけを読みます。Google側の定義はSearch Console「生成AIパフォーマンス」の見方を参照してください。
まず「何を数えたか」を分ける
| 指標 | Microsoftの説明に沿った意味 | そこからは分からないこと |
|---|---|---|
| Total Citations | 選択期間に、AI生成回答の情報源として表示された総引用数 | 個々の回答での掲載位置や見え方 |
| Average Cited Pages | 期間中、1日あたりに情報源として表示された自社の固有ページ数の平均 | ページの順位や権威 |
| Grounding queries | AIが引用コンテンツを取得するときに使った主な語句。表示されるのは引用活動のサンプル | 利用者が実際に入力したすべての検索語句 |
| Page-level citation activity | URLごとの引用数 | ページの重要度や順位 |
| Visibility trends | 対応するAI体験全体での引用活動の時間変化 | 変化の原因 |
定義はいずれもMicrosoftの発表に基づきます。対応する複数のAI体験を集計しているため、特定の一回答や一画面で何番目に表示されたかを示す表ではありません。
Grounding queriesを「検索者の生の質問」と読まない
Grounding queriesは特に誤読しやすい欄です。Microsoftは、AIが引用したコンテンツを取得するときに使った主な語句と説明し、表示内容は引用活動全体のサンプルだと記しています。人が検索窓へ入力した言葉の完全な一覧ではありません。公式説明
架空例として、あるページに「設定方法 比較」という語句が表示されたとします。ここから「利用者全員がこの語句で検索した」とは言えません。実務では、まずそのページが設定方法と比較条件を実際に説明しているかを読みます。語句に対して内容が不足していれば、対象条件や手順を補う候補にできます。ただし、加筆だけで引用数が増えるとは証明できません。
Microsoftは2026年3月、Grounding Query–Page Mappingも案内しました。語句を選んで引用されたページを確認でき、ページを選んで関連する語句を見ることもできます。一つの語句が複数ページに、また一つのページが複数の語句に対応し得ます。語句とURLを一対一と決めつけず、対応したページを開いて内容を照合します。Microsoft Advertisingの説明
6月に加わったIntents・Topics・Citation Share・Compare
Microsoftが2026年6月16日に発表した4機能は、引用の文脈と推移を読むためのものです。
| 機能 | 読めること | 誤読しないための留保 |
|---|---|---|
| Intents | Grounding queriesをInformational、Commercial、Navigational、Researchなどの広い意図に分類 | 利用者が入力した質問文そのものの分類ではない |
| Topics | 関連するGrounding queriesを大きな主題にまとめる | 分類は進化中で、専門領域ではラベルが広すぎることがある |
| Citation Share | 同じGrounding queryについて全サイトに表示された引用のうち、自サイトに帰属する引用の割合 | 検索順位、品質点、競合ドメイン一覧、クリックや流入のシェアではない |
| Compare | 現在の期間に過去の期間を重ね、引用活動の変化を見る | 変化と記事改訂が同時に起きても、改訂の効果とは断定できない |
Citation Shareは「その語句に対する引用全体の中の自サイト分」という観察指標です。Microsoftは競合のドメインを示す順位表として設計しておらず、流入シェアやコンテンツ品質の採点でもないと明記しています。割合の上下にはモデル、利用行動、情報の鮮度なども影響し得るため、同じ語句・期間で変化を記録するにとどめます。6月の公式説明
引用が多いページ・少ないページの見直し方
引用の多いURLは、古い情報が参照されていないか確認します。架空の料金ページなら、現行価格、適用時期、プランの違い、注記、更新日が本文で分かるかを見る。古い表記が残っていれば、引用回数が多いほど直す優先度が高いかもしれません。これは運用上の判断例であり、当社サイトで観測した事実ではありません。
引用が少ないURLも、直ちに品質が低いとは判断できません。対象テーマへのAI回答が少ない、ページが新しい、内容が検索意図とずれている、クロールやインデックスに問題があるなど、確認すべき原因候補は複数あります。Microsoft自身も、インデックス済みだが引用の少ないページで、明確さ、構造、網羅性を点検する機会になると説明しています。公式説明
月次点検シートの記入例
以下は架空の例です。実サイトのデータや改善実績ではありません。
| 対象期間 | URL | 引用数 | 関連する語句・主題 | 本文で確かめる点 | 編集履歴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 8/1~8/31 | /guide/setup | 18 | 初期設定、接続方法 | 手順の適用条件が明記されているか | 変更なし |
| 9/1~9/30 | /guide/setup | 21 | 初期設定、接続方法 | 8月と同じ条件か | 9/10に画面説明を更新 |
18から21への変化は、更新の効果を証明しません。対象AI体験の利用状況、検索需要、他ページの追加なども変わり得ます。比較には期間、URL、編集日、指標定義を必ず残します。Grounding queriesもサンプルなので、出なかった語句を「需要ゼロ」としないでください。
実務での確認手順
- Bing Webmaster Toolsで対象サイトと期間を選び、AI Performanceに表示されるTotal CitationsとAverage Cited Pagesを別々に記録する。
- Grounding queryを選んで引用ページを確認し、逆にページを選んで関連語句も見る。語句とURLの対応を記録する。Microsoft Advertisingの説明
- IntentsとTopicsを手がかりに本文を読み、分類が実際の内容に合うか確かめる。Citation Shareは同じ語句の引用内の割合として記録し、順位や流入割合と呼ばない。
- 誤記、古い情報、説明不足を特定する。Microsoftは、主張の根拠、分かりやすい構成、正確で新しい情報を改善観点として挙げています。2月の公式説明
- 編集日を残し、Compareで前後の期間を見る。変化の原因は保留し、クリック、サイト内行動、問い合わせには別の解析記録を使う。
失敗例は「Average Cited Pagesが上がったので、AIでの順位が上がった」と報告することです。この指標は日あたりの固有ページ数の平均で、順位ではありません。報告では「選択期間の平均引用ページ数が変化した」と単位を残し、理由は仮説として扱います。
実画面で確認しておきたい限界
本稿は2026年2月・3月・6月のMicrosoft公式発表を根拠にしています。6月の4機能はグローバルでプレビュー展開を開始したと説明されています。執筆時点で対象アカウントの実画面や各機能の提供状況を操作確認していません。利用時には、自社で見える画面、対象AI体験、データの期間、分類ラベルを再確認してください。Googleの表示回数や手動で観察したAI回答とは単位が違うため、数字を足し合わせません。
引用とクリックを分けた報告の例は、AI検索で引用されてもアクセスが増えない理由でも示しています。
参考資料
- Microsoft Bing Webmaster Blog「Introducing AI Performance in Bing Webmaster Tools Public Preview」 — 対象AI体験、各指標の定義と限界、改善の観点。
- Microsoft Advertising「The AI Performance dashboard: Your view into where your brand appears across the AI web」 — Grounding queriesと引用ページの双方向の対応。
- Microsoft Bing Blog「New AI Visibility Insights in Bing Webmaster Tools: Intents, Topics, Citation Share, Compare」 — 2026年6月追加の4機能、Citation Shareの定義と制約。